顔面神経麻痺の治療

 顔面神経麻痺は、ある日突然、顔面の神経が何らかの原因で損傷を受け、顔がゆがんでしまったり、目の開閉ができなるといった症状が現れます。

 顔のゆがみがあるために、外出して人と会うことを控えるようになったり、常にマスクなどをつけて出かけるといった感じで、顔のゆがみが完全に治るまではなかなか社会復帰がしずらいようです。

 顔面麻痺の治療を行うには、まず現代医学的な医療機関を受診し、脳と関連する重度な障害がないかどうか見分けてもらう必要があります。その後、必要に応じて投薬治療を受けることで症状が改善されるケースが多いようです。

 問題としては、投薬治療などである程度まで改善されるものの、顔面麻痺の症状が部分的に残ってしまうケースがあり、当院で治療を受ける方も、部分的に残ってしまった症状を改善するためご来院されています。

症例

54歳 女性 右顔面神経麻痺(ベル麻痺)

 ベル麻痺と診断され、投薬治療などを経て来院。発症から2ヶ月半たつが、右のまぶた、眉毛が下がり、表情が作られない、目が完全に閉じられない等の症状が一向に改善されず、人に見られたくないためマスクを着用して来院。

治療と経過
初診
 頭重感、足の冷えなどがあるため、直接的に顔面部への鍼灸の他、冷えをとる治療や、頭重感を緩和させる全身的治療と同時に行うということを治療方針とした。

第2診(初診の4日後)
 たるんだ口元や眉毛の位置が少し上がってきたとのこと。物を食べるのも楽になる。

第3診(第2診の4日後)
 口元の麻痺は治癒。目の周囲にまだ違和感があり、まぶたは一重の状態、眉毛や額は多少動くようになるが、まだ完全ではない。足の冷えがとれる。

第4診(第3診の1週間後)
 まぶたが二重に戻り、額や眉毛が問題なく動かせるようになった。

顔面神経麻痺の原因による効果の違い

 原因としては、脳と関係する中枢性のものと、ウィルスや循環障害などが関わっている末梢性のものがございますが、末梢性のものとして多いのが、ベル麻痺、ハント症候群などがあり、中枢性のものと比べると治りもよいとされています。

 鍼灸治療においても同じ事が言え、主に末梢性のベル麻痺の治療において効果がでやすくなります。

顔面神経麻痺は東洋医学でも古くから治療対象とされていた

 顔面神経麻痺そのものは、現代社会にのみ存在する病ではなく、約2000年前に書かれた古代の鍼灸学書にその症状についての記載があります。

医学古典中に記載される顔面麻痺
顔面神経麻痺 古代の鍼灸学書である『黄帝内経』の中では「口僻、目不合(口がゆがみ、目を閉じたり開いたりできない)」という顔面麻痺の症状とその治療法が記載される。


 東洋医学においても、麻痺は循環障害が原因であると考えられ、古代では麻痺は「気血の虚した状態である」と表現されていました。

治療の方法

■全身への鍼をして全体的な循環を調えながら、患部である顔面を治療

■痛みが少ないタイプの鍼を使用

■電気鍼(低周波通電鍼)は使用しません

顔面神経麻痺のツボ
顔面神経と関係する経穴


成鍼堂治療院 院長 宮下宗三